世界中に新型コロナウイルスが広まり、2020年4月7日に緊急事態宣言が発令されました。
これは日本史上1941年の太平洋戦争開始時から数えてたった6回しかされなかったほどのことです。
今でこそ慣れてしまった緊急事態宣言ですが、経済にとってはマイナスだけではなく中には恩恵を受けた人たちもいました。
日本の社会は大きく変化し「K字経済」が進むことになります。
そこで今回は、緊急事態宣言によって、日本社会がどのように変わったのか?そして現在、加速しつつある「K字経済」とはどのようなものなのかを解説していきます。
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Contents
加速するK字経済
まずは、当初の緊急事態宣言が発令され解除されるまでの期間を
わかりやすく「起」「承」「転」「結」と4つの時期に分けて見ていきましょう。
起
「起」は、コロナに対して初めて非常事態宣言が発令された日です。
まだコロナに関する情報が少なく、今後の世界がどうなるかもまったく読めない不安だけが募り、マスクや消毒用アルコールの買い占めが起こるなど、日本中にネガティブな雰囲気が広まっていきました。
後にコロナ第1波と呼ばれるのがこの頃です。
他人との接触を極力減らすよう国から要請が出され、それまで当たり前だった生活が制限されることになり、国民のストレスはみるみる上昇していきました。
承
次に起承転結の「承」、4月29日からゴールデンウィークに入ります。
本来は旅行シーズンになるはずが、自宅で過ごすことを推奨される「STAY HOME週間」となりました。
観光業などが大打撃を受けたものの、1 日あたりの新規感染者数は減少し、国民の不安が少しずつ落ち着きをみせはじめます。
そして接触を避けるため日常生活やコミュニケーションがオンラインに移行し始めました。
「オンライン帰省」や「オンライン会議」といった言葉が使われ始めたのもこの頃です。
実際に対面しなくても仕事や生活ができることがわかり、厳しい制限の中でもより生活を充実させたい、良くしたいという工夫がみられるようになってきました。
お店に行かなくても、ネットやアプリで買い物ができるし食事もテイクアウトや宅配サービスで良いじゃないかという雰囲気も広まりました。
娯楽に関しても動画配信サービスやオンラインゲームが伸び始めます。
しかし、新しい時代への期待は、ある残酷な決断によって打ち砕かれます。
転
そこが「転」です。
5月6日に解除されるはずだった緊急事態宣言が、31日まで延長されることになったのです。
ゴールデンウィークが終わり、緊急事態宣言が続いたままで日常へ戻るという、このちぐはぐさに社会には異様な不満と緊張感が漂いました。
社会的な不安…主に経済や収入に関する長期的な不安や、個人的な不安…会いたい人に直接会えない、人とのつながりへの不安などが目立ち出します。
その反面、リモート会議やオンラインセミナーといったオンラインツールの利用は、連休前よりも活発になります。
ただ、自宅でできない仕事もたくさんあり、外出する人たちも増加しました。
どれだけ国がリモートワークを推奨しても、急に全ての仕事をオンラインで行うわけにはいかなったのです。
デジタルを活用したコミュニケーションや娯楽は、連休が終わったことで利用率がすこし減少します。しかしその中でも、動画や音楽配信、ゲームなど、スキマ時間に利用できるサービスの活用は高い水準を維持していました。
ゴールデンウィークを通して新しい生活環境に移りつつも緊急事態宣言の延長により、営業自粛や三密回避の空気が続きます。
結
そして起承転結の「結」
5月25日ようやく全国で緊急事態宣言が解除されます。それでも本質的な自粛生活は終わりません。
「withコロナ」という言葉がありますが、コロナに対する不安を抱いたまま従来の日常へ戻り、同時に新しい日常の過ごし方を探し続けるよう求められたのです。
ゴールデンウィーク明けから在宅勤務は徐々に減り出社によって外出時間が増加し、お店へ買い物に出かける人も増え始めます。
その一方で、オンライン会議やオンラインショッピングの利用も増加したまま高い水準を維持します。
つまり元の生活と新しい生活の折り合いを探しながら、社会が再び進み始めたというわけです。
ここまで起承転結に分けて、緊急事態宣言を受けた日本社会の変化を見てきました。
実際はこの後も、宣言は何度も繰り返されることになるわけですが1回目の影響をまとめてみましょう。
まず、宣言によって生活が大きく変化し、経済的にも打撃を受けながらその中でも日本は新しい生活を模索しました。
その後、宣言が延長されたことによって、不安は強まりつつもオンラインを活用した特定の産業が伸びていきます。
そうして感染対策をしながら社会を発展させていく「withコロナ」生活を続けることとなったのです。
ではここから、生活が変化した結果経済がどのように変わったのかを見ていきましょう。
二極化する世界
コロナが長期化する中、生活とともに労働環境が変わりました。
低賃金の労働者ほど雇用環境が悪化し、逆に株高などの恩恵を受ける富裕層に富が集中するという二極化現象が広がりました。
K字経済とはつまり上と下に大きく数字がひらく二極化現象のことなんです。
富裕層と貧困層の経済格差のように、所得階層別に資産の増減などをグラフ化すると上下に大きく開くK字を描くことから「K字経済」と呼ばれます。
産業においても製造業はわりと早期に回復したものの旅行や飲食などの非製造業は落ち込んだままです。
この回復の早い業界と、数字が落ち込んだままの業界の二極化を「K字型」と呼んでいます。
資産のK字化と産業のK字化という、2つのK字化が起こったというわけです。
ちなみに、V字型とは急低下した後に急回復をしたものそのV字型よりも回復に時間がかかるものをU字型と言います。
L字型とは急激に落ち込んで、しばらく回復しない形のことです。
さて、K字型は、他のアルファベット型の様に最終的には回復するという形ではなく回復する勢力と落ち込むグループへと二極化することでK字を描くことが特徴です。
SMBC日興証券のまとめによると2021年5月までに決算を発表した約1000社のうち50%が増益・35%が減益・13%は赤字という結果となりました。
大雑把に言えば、半分好調、半分不調という結果です。(K字)
海外への輸出が回復し、自動車や半導体関連などの製造業はわりと好調で
テレワークの増加による恩恵をうけた通信業も好調でした。
しかし、非製造業である航空や鉄道や旅行業、外食産業は厳しい結果です。
新型コロナウイルスの影響が長期化する中追い風を受けた業種と、向かい風の業種との二極化が鮮明になったのです。
産業の二極化
それでは二極化した産業を、更に細かく見ていきましょう。
まずは好調化した産業、主に製造業や情報・通信業です。
自動車メーカーや半導体メーカー巣ごもり需要を取り込んだゲーム関連の企業は過去最高の利益を出すところもありました。
具体的にはトヨタ自動車、東京エレクトロン、任天堂やソニーグループなどです。
逆に不調になった産業である非製造業はステイホーム、時短営業や移動の制限などの影響を強く受けました。
外食産業やホテルなどの観光業、日本航空やANAなど航空会社やJRなどの鉄道、三越伊勢丹などの大手デパート、東京ディズニーランドを運営するオリエンタルランドが過去最大規模の赤字となりました。
特にオリエンタルランドは、上場以来初めての赤字になります。
また、運搬の面で見ると興味深いことがわかります。
同じ業界内での二極化が起こっているのです。
その違いは何かというと、運ぶものが「人」か「荷物」かということ。
「人」を運んでいた航空会社や鉄道は、観光の激減に加え、通勤通学もテレワークや遠隔授業の影響で打撃を受けたのに対して、「荷物」を運んでいる企業、例えばヤマト運輸のヤマトホールディングスは、最終利益が過去最高を更新します。
これは巣ごもり需要でオンラインショッピングが急拡大したからでメルカリやヤフオクなどに特化した新サービスも好調でした。
また、航空会社や鉄道も「荷物」を運ぶ分野においては好調でした。
飛行機による貨物の航空輸送や、普通列車や新幹線での「荷物」輸送により、
「人」を運ぶ分野で抱えた巨額の赤字をしのいでいたのです。
資産の二極化
二極化が起こったのは、産業だけではありません。
僕たち個人の資産の世界でも、K字型に格差が広がっていっています。
不調になった産業を中心に倒産や雇止めが広がり、働きたくても働けない人が増え続けた結果、世界では20億以上の人たちが生活苦の状態となりました。
また、不況を打破するため世界各国が金融緩和を実施したことで、富裕層は余ったお金で高級ブランド品を買ったり不動産などへ投資するようになりました。
こうした投資が過熱すると株価が上昇し、富裕層はさらに資産を増やすことになります。
2021年には日本の富豪上位50人の資産合計が昨年と比べて48%も増加し、約27兆3900億円になったと発表されました。
日本に限らず世界的に見ると、株高の影響もあり、世界中で2755人しかいないと言われる10億ドル以上保有する大富豪は、1年で約2億ドルの資産を増やしました。
もとからのお金持ちは株価の上昇で得をして、株すらも持たない資産が少ない人たちは働くこともできずに更に貧しくなっていくK字型の流れが起こっているのです。
厚生労働省は2021年4月、コロナ禍で仕事を失った人の数を約10万人と発表。
都市圏を中心に飲食業の割合が多く、更に政府は企業への雇用に対する助成金を、5月から段階的に縮小する方針であると発表しました。
雇用の助成金が縮小するとどうなるのかというと、これまで雇用を維持してきた企業が、お金がないのでリストラや雇い止めなどを行う可能性が出てくるという事なんです。
そうすると働きたくても働けない人が増えていきK字経済がさらに加速するのです。
withコロナとして経済は動き出しているものの、完全な収束までにはまだまだ時間がかかりそうです。
このまま時間が経てばK字化はより進んでいくことでしょう。
それでもK字経済は「K字型に回復している業種がある」と言い換える事が出来ます。
格差はあるものの、全体としては、初期よりも確実に回復し続けているので、政府もこの動きを完全にとめることは難しいでしょう。
そういった世界で自分はどう立ち回るのか?何をするべきなのか?
例えばK字の上にのびる業種を調べてみる、副業をはじめてみる、富裕層と同じように株や不動産を買ってみる…など
そういったことも直接自分にかえってくる重要な学びと言えるのではないでしょうか。
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ということで、今回は以上です(^^)/