オリンピックをはじめ、大事な行事で必ずと言っていいほど目にするものといえば国旗でしょう。日本をイメージすれば「日の丸」が浮かんでくるように、国旗とはその国のシンボルというわけです。
世界には約200ほどの国がありますが、国の数だけ国旗は存在しています。
そのいくつもある国旗には意味があり、ひとつとして同じものはありません。
ですが中には、まったく別の国なのに国旗がとても似ているといったことがあります。はたしてそれは偶然なのでしょうか?それとも意図があるのでしょうか?
そこで今回は、国旗の由来から、なぜ似ている国旗があるのかまでわかりやすく解説します。
最後までご覧になっていただければあなたの教養が深まること間違いありません。
動画でもわかりやすく解説!
Contents
世界の国旗はなぜ似てる?
世界の国々はそれぞれの国旗をもっていますが、その中には似ている国旗がいくつも存在します。
例えば、国旗に使われている色は、赤、青、黄、緑、白、黒のいづれかを使用している国がほとんどです。
これは、世界的に好まれる色というのが共通しているので、主に6色程度で色使いや組み合わせをしている国が多いということです。
ちなみに世界で最も国旗に使われている色は赤ですが、赤を使用している国の数は100ヶ国以上にも及びます。
この赤には情熱や勇気、革命などの意味があります。
その次に多い色は、空や海といったイメージのある「青」ですが、これには自由や正義、名誉、純潔という意味があります。
しかし、世界の国旗が似ている理由は単に色の好みが一緒だからというだけではありません。
例えば、エリアによって構成される色が一緒ということがあります。
アフリカの国旗を見てみると、赤、緑、黄の3色で構成されることが多く、この3色はアフリカ色とも呼ばれています。
40近くの国があるアフリカですが、なんと、その約半数がアフリカ色を国旗に使用しているのです。
赤は自由と平等を求めて流された血、緑は植物や農作物、黄は富と繁栄を表しています。
初めてこの3色を国旗に使用したのはエチオピアです。
エチオピアはアフリカで初めて独立した国であり、こうした背景からその他の国もエチオピア国旗を手本にして自分達の国旗を作りました。
他には、中東エリアでも国旗の色が同じ国が多いです。
緑、赤、白、黒で構成されています。
緑はイスラム教を象徴する色で、黒はイスラム教の開祖ムハンマドを象徴する色です。白は無垢や清浄、赤は血や戦いの剣といった意味で使用されています。
この4つの色はイスラム帝国歴代の王朝をあらわしています。
ここの地域に住む人たちの「解放のシンボルカラー」になっていたことで、独立した国々の間でも緑、赤、白、黒の4色を使用した国旗が作られたのです。
しかし、似ているのは国旗の色だけではありません。
デザインについても似ている国旗というのはたくさんありますが、他国に多くの影響を与えていることで有名なものにフランス国旗があります。
縦に青、白、赤が配列された三色旗は、自由・平等・友愛を意味し、自由を求めるための運動から始まったフランス革命の時に生まれたものです。
この三色旗は愛国心の象徴として歓迎され、国民の心を掴みました。
各国でも解放運動が盛んになり、フランス革命に共感した国々が、この三色旗を手本にした国旗を採用しています。
また、フランスに支配されていた国も配色は違いますが三色旗のデザインが使われています。
例えばコートジボワール、チャド、マリはフランスの植民地だった影響から三色旗になっています。
同じように、歴史的につながりのある国などは、わざと似たような国旗にすることがあるのですが、イギリスとオーストラリアの国旗もそのうちの一つです。
もともとオーストラリアはイギリスに支配されていた過去があり、多くの影響を受けているため、国旗の左上にイギリスの国旗が描かれています。
オーストラリアの近くにあるニュージーランドも似たような歴史があるために、イギリスの国旗が左上に描かれているという同じ特徴があるのです。
その他には、宗教的な意味合いから似たような模様をモチーフしている国旗もあります。
ヨーロッパの国々では、キリスト教のシンボルである十字架をモチーフにした国旗がいくつも存在します。例えばデンマーク、ノルウェー、スウェーデン。イギリスにも十字架が入っています。
また、イスラム教のシンボルである三日月や星をモチーフにした国旗は、イスラム教が普及していたエリアでよく使われています。こちらはトルコやパキスタンなどがあります。
このように似ている国旗はいくつも存在していますが、それぞれの国旗が各国の考え方を表すシンボルとして重要な役割を果たしているというわけです。
国旗はなぜ誕生した?
ここまでの説明で「なぜ似たような国旗が世界中にあるのか」という謎が少しだけ解けたのではないでしょうか。
ですが…そもそも国旗ってなに?と思われる方もいるかもしれません。
それでは次に「なぜ国旗が誕生したのか」についてもみていきましょう。
国旗のはじまりは
現在ではあたりまえとなっている国旗ですが、その由来は「戦場で使用されていた軍旗」がはじまりとされています。
軍旗はそもそも敵と味方を区別するためのものでした。戦場においては軍隊の位置を示し、士気を高め、団結を象徴するためにも用いられていました。
軍旗は、軍隊の指揮者の家紋や紋章をあしらうことが多かったでのすが、その地域を占領しはじめると軍旗が「地域のシンボル」として使われることになります。
その後、地域のシンボルである旗は、乗組員が所属しているを地域を示すために商船に掲げられ、次第に「国そのものを象徴する旗」として用いられていくのでした。
今日のように国旗が世界的に使われるようになったのは、各国が海を渡って活動を始めた17世紀頃からになります。
国同士が海や他国で出会うときに、その所属を表し、他国と区別するための印だったからこそ広がっていったのです。もし世界規模での人々の動きがなかったとしたら、国旗は現在のように広まっていなかったかもしれません。
その後、各国の結束を高めるためや、独立するにあたって、各国の宗教観、文化、価値観などを反映したシンボル的な役割として、様々な国旗が誕生しました。
こうして国旗は、現在の国おいて欠かせない存在となっていったのです。
日本国旗の成り立ち
日本においても、国旗は様々なシーンで活用され、いまや欠かせない存在となっています。
みなさんもご存じの通り、日本の国旗は白色をベースとした長方形の旗の真ん中に、日の丸と言われる赤の円が描かれています。
国旗の中心に描かれている日の丸は、見た目の通り太陽を象徴しています。
そして国旗の色は紅白の2色で構成されていますが、日本にとって紅白は伝統色で、昔からお祝いの場面に登場していたことから選ばれました。
紅色はすべての人を平等に愛すること、元気よく動いたり働いたりする活力という意味があり、白色は特別なもの、けがれなく清らかなことを表してます。
日本では、古事記にもそのストーリーが描かれているように、天皇の祖先とされている天照大神が太陽の神様で、その昔から日本人は太陽を信仰の対象としていました。
また、600年代の飛鳥時代には、聖徳太子が中国の皇帝に送った文章の中で、日本のことを「日出づる国」と書いています。
これは「太陽がのぼる国」という意味です。
当時、最先端の国だった中国から見て東にある日本から、太陽がのぼっているように見えたためこのように書かれたのです。
さらに、飛鳥時代の末期には、国名を「日の本」としていることからも、昔から太陽に対して強い関心を持っていたことがわかります。
日本ではいつ頃から使われていたの?
それでは一体いつ頃から、日本では現在の国旗を使用していたのでしょうか?
700年頃、天皇が儀式を行う際に「日の丸らしき旗」が使用されていましたが…国のものとして使われだしたのは1800年代です。
船舶用の旗として、所属する国を表すために使われていました。
その後は、船舶だけでなく、さまざまな場面で「日本を表す旗」として一般的に使われるようになったのです。
よく日の丸と呼ばれている日本国旗ですが、正式名称は「日章旗」と言います。
この日章旗、昔から利用されていたわけですが、実は正式に日本の国旗として法律で定められたのは1999年からです。
それまでは紅白の比率なども正確には決まっていませんでした。
法律によってデザインが確定し、全体の縦横比は2:3、日の丸は旗の中心に描き、直径は縦の5分の3、ベースは白、日の丸は紅色と決まったのです。
また、日本ではもう一つ有名な旗として、軍旗で使用される「旭日旗」があります。そのデザインは朝日を表現しており、真ん中の日の丸から放射した太陽光線が16本描かれています。
旭日旗は日本の軍旗として使用されており、特に戦時中は「軍国主義の象徴」となっていたために現在でも批判されることのある旗です。
戦時中の国旗は旭日旗だと勘違いされることもありますが、あくまでも軍旗として使用されていただけなので、今も昔も日本の国旗は「日章旗」に変わりありません。
日本を真似した国旗!?
太陽をモチーフにし伝統色を使用した日章旗ですが、他の国で似ているものがあるか気になるところですよね。
同じように紅白の色だけを使っている国は、インドネシアやオーストリア、グリーンランドなど、いくつもあります。
また、太陽をモチーフにしている国旗も世界にはたくさん存在しています。
このように配色やモチーフが同じ国はいくつもありますが、日章旗と同じデザインとなることはあまり考えられないでしょう。
しかし、世界には日章旗とそっくりなものが存在しています。
それがバングラデシュとパラオ。2つの国旗です。
バングラデシュの国旗は真ん中より少し左に日本と同じ太陽をモチーフにした赤い丸がありますが、違うのはベースの部分が緑色になっていることだけです。
国旗のベースの緑色は、バングラデシュの豊かな自然と若い力を表しており、赤い丸は1972年の独立までに自由を求めて流された国民の血を表しています。
バングラデシュの国旗の制作にあたっては「日本の美しさに魅せられて国旗のデザインのモチーフとして日の丸を選んだ」と元首相が語っています。
また、パラオの国旗は真ん中より少し左に黄色い丸があり、ベースの部分が明るい青色になっています。
国旗の色に関しては、青は海を表し、黄色は月を象徴しているため、太陽のモチーフとは異なりますが国旗のデザインとしては日本の国旗とほぼ同じです。
パラオは第二次世界大戦中は日本軍に占領されていましたが、その際、日本により行われた教育によって、パラオの教育水準が上昇し、産業や文化が発展しました。
しかし、日本の敗戦後、その支配はアメリカに移ることになります。
その後1994年にアメリカから独立した際に、戦時中大きな影響を受けた日本の国旗をお手本にして国旗を作ったとされています。
パラオには日本の企業が建設した島と島を結ぶ巨大な橋が架かっていて、その橋は「日本・パラオ友好の橋」と名付けられています。
そうしたことからもパラオと日本の親交が深く、国旗にまで影響を及ぼしたことがわかります。
国旗は各国の大事なシンボルですが、他国からの影響を受けている国旗も多いのです。
まとめ
今回は、国旗についてお話しました。
国旗はもともと他者と戦うときに区別をするための旗として始まりましたが、現在では各国の想いを表すシンボル的な役割を担っています。
国旗には特に決まったルールがないため、各国で自由に色や形やデザインを決めることができます。それでも地理的な理由や宗教的な意味合い、歴史的な背景によって、世界の国旗は似ているものが多く存在します。
当たり前のように見ている国旗にもそれぞれにストーリーがあって、そこから何を大切にしているのかや他の国との関係性までみえてきます。
そういった事に興味をもつことも学ぶことだと僕は思います。
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