日本の経済成長を考える上で欠かせないGDP。
最新の数字がどのようなものだったかをご存じでしょうか?
今回の記事ではその数字とトヨタ自動車の決算報告会での数字とから日本経済を読み解いていきたいと思います。
動画でもわかりやすく解説しています!
Contents
日本の最新GDP
5月18日に日本の最新のGDP成長率が発表されました。
2020年1−3月期の実質GDPは-0.9%(年率-3.4%)となりました。
その前の10-12月期が-1.9%(年率-7.3%)でしたので
これで二四半期連続でマイナスになりました。
日本では景気動向指数が基準となりますが、
欧米いわゆる世界基準でみた場合には、この二四半期連続でGDP成長率がマイナスというのが景気後退局面に入りましたという判断基準になります。
この景気後退局面に入ったことを経済用語でリセッション入りと言います。
この数値は実は市場が予想していた数値よりも低い数字でしたが
日本が緊急事態宣言で自粛していた期間は4−5月なので
次の四半期の数字はさらに悪いものになると考えられます。
その一方で、緊急事態宣言が解除された地域も多く
まもなく全国で解除される見通しといったところまで来ました。
営業を再開するお店も多く、徐々に経済が動き出しました。
ここから、経済はV字回復するのでしょうか?
その参考にトヨタの見通しが興味深いものでしたので、共有させて頂きます。
自動車産業の概要
ただ、その前にまず自動車産業の概要について知っておいた方がより話がわかりやすくなると思いますので確認しておきましょう。
皆さんご存知のようにトヨタ自動車、本田技研工業、日産自動車、ダイハツ工業、スズキ自動車など自動車メーカーがあり

その部品を作る会社としてパナソニック、デンソー、日本製鐵、AGC、村田製作所、日本電産など名だたる企業が自動車産業に関わっています。

さらにそこから2次部品企業、3次部品企業以降があり、合計すると25,000社にものぼります。
これは全就業人口の約8%、GDPの10%程度も占めており、自動車産業はまさに超巨大産業だといえるでしょう。

日本自動車工業会 自動車関連産業と就業人口http://www.jama.or.jp/industry/industry/industry_1g1.html
自動車の概念も変わっていく
最近のコロナウイルスの影響でリモートワークが進みました。
だから、遠隔でも仕事ができるような環境が整っていくことで田舎に住むという人も増えます。
田舎での移動手段として車は欠かせませんから、自動車自体の需要が高まる可能性はあります。
また、自動車は”人との接触がないパーソナルな移動手段”としても最適です。
その上、新しい車の使い方として海外では車に乗りながらのアウトドア結婚式というものが行われたりもしています。
クラクション鳴らしてお祝いしたりするという演出だそうで、車好きにはたまらないですよね。
他にも車に乗ったまま映画を見るドライブインシアターもより行われるようになるのではないか、なんて言われたりもします。

そういった「新しい車の使い方」が生まれてくる中で、自動車自体の需要が一気に無くなってしまうということはないでしょう。
日本経済はV字回復するのか?!
それでは、このまま自動車産業ひいては日本経済はV字回復するのか?
という点を考えてみたいと思います。
トヨタ自動車の決算報告会

興味深かったのが自動車業界のトップ・トヨタ自動車の決算報告です。
ただ2020年度の決算自体ではなく、そこで話されていた2021年度の予想が驚きの内容でした。
それは、900万台近くあった販売台数は700万台まで減るだろうと見込んでいるものです。割合で言えば21.9%減少です。
また、営業利益については2兆円弱も減ることを見込んでいます。
売り上げではなく、利益で2兆円です。これはすごいインパクトだと思います。

トヨタ自動車 決算報告
https://global.toyota/jp/ir/financial-results/
自動車産業全体が停滞する可能性
ホンダは見通しを避けており、日産についてはこれからです。
しかしながら、車業界NO1のトヨタがこの見通しですから、他の車会社も
トヨタ程度の水準でダメージを受けると見込む可能性が高いのではないでしょうか。
つまり自動車産業全体で20%程度の落ち込みを想定する必要もあるということです。
単に、一つの会社の業績が悪いというだけの話ならスルーしても構わないと思いますが、
先ほど申し上げました通り、自動車産業というのは日本の超巨大産業です。

そのトップにトヨタがいて、そこから2次受け、3次受けそれ以降…という企業がもう山のように存在しているわけです。
その上、一般的には川下へ行けば行くほど利益が薄くなります。その分、業績にダメージを受けることになりかねません。
さらに、メーカーはいくら業績が悪くても、工場や機械のメンテナンスは必要ですし
オフィスの賃料や人件費などの固定費が確実にかかってきます。
さらに、この固定費は急に削ることができませんから
固定費をどうしても安く抑えるためには人件費のカットが必要になります。場合によってはリストラという選択もしなくてはなりません。
だから、トヨタの売上と利益が減るということは、そこから派生する企業や、さらにそこに勤める従業員に対しても、かなり壊滅的なダメージを与える可能性があるよということをよく理解しておく必要があります。
この経済危機は自動車産業に限った話ではない
この傾向は自動車産業に限ったものではありません。
緊急事態宣言の影響を受けて直近では、飲食店、ホテル業界、フィットネス関連の他、アパレルや百貨店などの小売業も大ダメージを受けました。

有名な企業であっても経営破綻に追い込まれる事態となりました。
緊急事態宣言が解除されたら、いきなり経済が回復するかというとそうではありません。
もしかしたら、第二波が来るかもしれないから3密の場所に行くのは怖いな〜と感じる人も多いでしょうし、
お店側も再び営業自粛を余儀なくされるかもしれないという恐怖があります。
そのような状況で「さー自動車買い換えるか!新車を買おう!」とか
「高級なブランド品を身に纏ってショッピングしようかなー」とか
「みんなでキャバクラでも行くか〜」とか贅沢しようと思わないですよね。
先行きが不安で「これからどうなってしまうのだろう?」という風に感じると思います。
だから「何かあったときのためにお金は使わないで残しておこう」そんな思考になっていくわけです。
特に大きな買い物は控える動きが出てくると多います。
そう考えると、もしかしたらトヨタの販売台数は20%減少では済まないかもしれません。
日本経済には希望もある
だからと言って希望が全くないのかといえばそうではありません。
トヨタ自動車の近健太(こん けんた)CFOは決算発表の中でこうおっしゃっていました。

「このような局面では随時見通しは変わります」
つまり、下ブレもありますが、逆に言えば上ブレもあるということです。
それは例えば、有効なワクチンの開発が一気に進むことであったり、
場合によっては、アビガンやレムデシビルのような治療薬の効果とともに医療体制が安定することで
コロナウイルス との向き合い方が変わってくる可能性もあります。今はとにかく感染を避ける対策をしていますが、
これからは”コロナウイルスは共存していくべきものなんだ”というような考え方が定着する展開もありえます。
経済悪化を恐れて世界中でロックダウンに対するデモが発生していることを考えると
コロナウイルスはもう他の病と同じように一定の感染は受け入れましょうよと
その代わり新しい生活様式を定着させてインフルエンザと同じように予防するだけの存在だとしましょうよ、ということになる可能性だってあり得ます。
この先の未来がどうなるかはまだ誰にもわかりません。
ただ、世の中がどういう風に動いていくかは知っておくべきですし、
世界の変化に合わせて、自分が変わっていくことも大切なのではないでしょうか。
まとめ
日本だけでなく世界規模で大きな経済ダメージを受けています。
これからの見通しが暗いことから財布の紐がさらに固くなることで経済悪化が進む流れにも注意が必要です。
ただ、場合によっては経済を優先してコロナウイルスとの共存を模索していく事になるかもしれません。いま世界中が本当に最優先で対策しています。何かしらの突破口が見えてくる可能性もゼロではありません。
では、そんな中で僕たち一般市民ができることは何だろうかと考えたら、準備をすることだと思います。
経済危機なんてどうにかなるよ〜と苦しくならない程度に楽観的に考えるマインドももちろん大切だとは思いますが、
想像を絶するようなことが起こる世の中であることはもう事実です。
コロナウイルスの感染が世界中に拡がり、そこから新しい生活様式なんていうものが出てくるなんて 一体誰が想像できたでしょうか?
つい数ヶ月だけの間に、世界は変わってしまうものなんだと思っておいた方が良いでしょう。
だからこそ、学んで、知識をつけることで、どうしたらこの困難を乗り越えられるかを考えていく必要があると思います。
というわけで今回は以上です(^^)