ロシアのウクライナ侵攻以降、その情報を毎日目にするようになりました。
世界平和を目指している現代でこのような戦争を引き起こしたロシアに対して「世界はなにか行動を起こすべきだ」と考える人も多いでしょう。
そういった行動の一環として行われているのが「経済制裁」です。
世界はロシアの経済にダメージを与えるための対応を強めています。
特に、2月26日にはアメリカとヨーロッパ各国で重大な決定がなされました。それは「SWIFTからロシアを排除する」というものです。
その効果について色々な意見が出ていますが、そもそもSWIFTとはどんなものかよく分からない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回の動画では、このSWIFTについてわかりやすく解説します。
日本もこの制裁への参加を表明していますが、実際ロシアに効果があるのか?
また日本側に影響はないのかまで理解できるようになります。
最後までご覧いただければあなたの金融経済リテラシーが高まること間違いありません。
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動画でもわかりやすく解説!
Contents
ロシアのウクライナ侵攻
ロシアのウクライナ侵攻は、停戦の話し合いも上手く進んでいないことから世界中の人々を不安にさせています。
このまま第三次世界大戦が始まってしまうのではないかと恐怖を抱いている人も少なくないでしょう。
そもそも、ロシアが何故ウクライナを攻撃しているか、その経緯を簡単におさらいしておきましょう。
ウクライナは以前から東の親欧米派と、西の親ロシア派で対立していました。そんな中で2014年に親欧米派が政権をとりました。
このことへの新ロシア派の反発から、ウクライナ国内では内戦が始まります。それに乗じてウクライナの領土だったクリミア半島をロシアが奪いとります。
こうしたことからウクライナとロシアの関係は一気に悪化し、ウクライナはNATOへの参加を積極的に目指すようになりました。
NATOとはロシアと対立する軍事同盟のことで、アメリカ、ヨーロッパのおよそ30ヶ国が加盟する巨大な組織です。
もしウクライナがNATOに加盟した場合、ロシアにとっては敵対する軍事同盟と”国境を接する”ことになります。
さらにウクライナにNATO軍の基地が作られたり、ロシアの首都を狙えるミサイルが運び込まれる可能性もあり、もしそうなればロシアはかなり危機的な状況です。
これを前もって防ぐため、ロシアは10万人以上の軍隊をウクライナ国境に集めて脅しをかけました。それがエスカレートし今年2月24日についに侵攻を始めました。
激しい戦闘によって両国の兵士だけでなく、子どもを含む民間人にもたくさんの犠牲者がでています。
3月はじめの時点で、その数は2000名を超えたと悲惨な状況が報道されています。
こうした状況に対し、各国もただ黙って見ているだけではありません。
ロシアに対する経済制裁が次々と発動され、たくさんの企業がロシアとの取引をやめて引き上げました。
中でも特に影響が大きいとされているのが「SWIFTからの排除」です。
これは「経済の核兵器」にも例えられるほど強力なもので、ロシアへのダメージが大きい反面、世界各国にも悪影響を与えると言われています。
それほど強い影響力を持つSWIFTとはどういったものなのでしょうか?
SWIFTとは何か?
SWIFTとは、「国際銀行間通信協会」という団体のことです。
ベルギーに本部を置くこの団体は、世界各国の銀行を繋ぎ、独自の仕組みで金融取引の仲介を行っています。
このSWIFTが安全性の高いネットワークで世界中の銀行を結ぶことで、銀行同士がやり取りする手間が省け、取引が便利になっているのです。
実際に世界中の高額な取引の約半分がSWIFTを利用していると言われ、ロシアからも約300の銀行が参加しています。
これはSWIFT全体の1.5%に当たる規模で、アメリカに次ぐ2番目の大きさです。
なんとなくシェアが少なく感じてしまいますが、これはSWIFTを使った世界の取引量がそれだけ多いことを意味しています。
このネットワークからロシアを追い出すというのが制裁の内容ですが、それは具体的にどういうことなのでしょうか?
SWIFTの仕組み
それではSWIFTの仕組みをみていきましょう。
SWIFTに参加している国の銀行は海外とお金をやり取りする時、相手の国の銀行と直接やり取りするわけではありません。
国ごとに取引を仲介するための銀行が存在し、ここを通してやり取りするのです。
この仲介する銀行のことを「コルレス銀行」と呼びます。
銀行同士が直接取引すると、膨大な数のお金の動きを自分たちで管理しなければいけません。しかしSWIFTに参加していればコルレス銀行がそれを代わりにやってくれます。
これをたとえるなら、郵便局のような仕組みでしょう。
送る物を自分が直接現地まで行って、その都度手渡しで運ぶのは大変ですよね。
郵便局が郵便物を集めてから、それを送り主に代わって届けてくれるのと同じように、コルレス銀行がお金を預かり、それを相手の銀行に届けるのです。
実際には金融がデジタル化されたことで、国境を超えたお金のやり取りは情報の通信だけで行われるようになりました。お金を送った受け取ったという情報がやりとりされるようになったのです。
この情報の通信を正確にスピーディーにできるのがSWIFTのシステムで、世界で200カ国が利用するなど、事実上「世界標準の仕組み」と言えます。
だからこそSWIFTは現代の国際的な取引に欠かせないものであり、この仕組みをロシアが使えなくなれば、経済に大きな打撃を与えると期待されているのです。
そしてSWIFTは本部を置くベルギーの法律に従います。
そのベルギーは、加盟しているヨーロッパの経済同盟「EU」の決定に影響を強く受けます。
つまり、ロシアからは手が出せず、ヨーロッパの考えが優先されるということです。
これはロシアにとってかなり不利な状況なので、今回の制裁によって世界の金融ネットワークからロシアが締め出されたと言っても過言ではありません。
SWIFT排除で何が起こる?
では、このSWIFTからロシアを追い出すと何が起こるのでしょうか?
まず挙げられるのは、海外の銀行と取引できなくなるので、貿易がほとんどできなくなることです。
海外から輸入していた材料が買えなくなるので工場がストップしたり、逆につくった製品が外国に売れなくなったりと、経済に大きなダメージが出ます。
ロシアで使っているルーブルという通貨を他の通貨に両替し、SWIFTを通さずにやり取りするという方法もありますが、これも簡単にはいきません。
なぜならSWIFTから追い出された時点で取引に不便なルーブルの価値は大きく下がるので、そもそも両替できる金額が大きく減ってしまうからです。
実際、ルーブルは大きく価値を下げ、今までの半分くらいの価値になってしまいました。
これはロシアからすると、今まで100万円で買っていたものが、200万円払わないと買えなくなるような状態です。
逆にロシアに投資していた人にとっては、持っていたお金が半分以上無くなるというとんでもない状況です。
今後もルーブルの価値は下がっていくと予想する声は多く、損が少ない内にロシアと手を切ろうとする企業が相次いだことで売りを加速させました。
しかしその一方で、SWIFTからの排除はロシア以外にも影響を及ぼします。
ロシアが外国と取引しづらくなるという事は、取引をしていたその国にとっても悪影響が出ることを意味します。
ロシアからの輸入に頼っていた国にとっては、取引できないことで経済が危機に陥る可能性もあります。
石油や天然ガスなどのエネルギー輸出が止まれば、今高くなっている原油価格がさらに値上がりし、各国の経済に大きな影響を与えるでしょう。
SWIFTが核兵器にも例えられるのは、このように相手に大きなダメージを与えるだけではなく、周辺国も巻き込んだ大きなダメージを与えるからなのです。
日本への影響
では、ここで僕たちが住む日本への影響を考えてみましょう。
日本とロシアの貿易は、金額で言うと年間2兆円を超えます。
主に日本からは自動車とその部品を売り、ロシアからは石油や天然ガスなどのエネルギー、そして機械の材料に使う金属を買っています。
日本の貿易全体から見ると2%以下ですが、日本はエネルギーを輸入に依存している国なので、これらの取引が減少するのは日本経済にとって痛手です。
どの国も似たようにダメージを受けるわけですが、それでもロシアへの制裁を優先するほど今回のウクライナ侵攻は重要度が高いと考えられているのです。
このように世界中に悪影響を出してしまう一方で、この制裁はどれほど効果が期待できるのでしょうか?
過去にSWIFTから追い出された国の例があります。
2012年、核兵器を作る計画をしているという理由で、アメリカが主導してイランをSWIFTから追い出したことがありました。
その結果イランの景気は悪化し、原油の輸出も減少します。
最終的にはイランが核開発の大幅な制限を受け入れることで、制裁の緩和が認められました。
つまり、SWIFTから追い出す制裁によって、軍事外交の超キーポイントとなる核開発すらもやめさせたことがあるのです。
今回のロシアについても、ウクライナ侵攻をまずは中断させることが期待されています。
ロシアはSWIFT排除に屈するか?
実際にSWIFTから排除されると大変だと言っても、ロシアは期待通りに動くのでしょうか?
残念ながら、その可能性は低いと言われています。
なぜならロシアは資源大国であり、外国からの輸入に頼らなくても、ある程度は自分たちだけでやっていけるからです。
これがもし日本だったら、食料やエネルギーが足りなくなり、すぐさま国家存亡の危機に陥っていたことでしょう。
しかし、ロシアの場合はむしろ資源が余っているくらいなので、経済制裁によってすぐに考えを改めるとは限りません。
またロシアは、まるでこのための準備をしてきたかのように…日本円にして約72兆円分の「外貨」を所有しています。
つまりルーブルの価値が暴落しても、すでに持っている外国のお金を使って、ある程度の期間なら貿易を続けることが出来るのです。
ロシアが準備を整えていた理由
このようにロシアが準備を整えていた理由は、過去に同様の経済制裁で苦労した経験にあります。
2014年にロシアがクリミア半島を奪った時、アメリカやヨーロッパによって別の経済制裁を受けました。
この時ロシアでは大変な不景気になり経済の立て直しに相当苦労したため、次の経済制裁を予想して外貨を集めるという対策を取っていたわけです。
その上、世界中の国ではロシアからの資源を必要としていて、それが無くなってしまうと困るため、今回の制裁では全体の3割程度の銀行は経済制裁の対象から外されています。
その対象外の銀行を経由して、海外と取引する手段がロシアには残されています。
さらに、ロシアの銀行は中国の国際決済システム「CIPS」に参加しているので、SWIFT以外のネットワークを使うという手段もあります。
こうしたSWIFTからの抜け道は、各国でも問題視されていて、後出しの対策に追われる状況が続いています。
つまり、ロシアをSWIFTから追い出すことでそれなりのダメージを与えても、すぐに戦争を止めさせるほどの効果は薄いと考えられるのです。
もちろん、長い目で見れば色々な問題が生まれてきます。例えば、ロシアがSWIFTから追い出されたことでロシア国民の間には不安が広がりました。
モスクワでは「銀行からお金を引き出せなくなる」という話が広まり、その不安からATMに長蛇の列を作っているという報道がなされています。
そういった流れから「国が管理している通貨は信用できない」ということになり、ルーブルを売り、ビットコインなどの仮想通貨を買いにはしるという動きもあったようです。
国民が自分の国の通貨に疑問や不安を持てば、経済は混乱しますし、成長できません。
それと同時に時間が経てば、ロシアが準備していた外貨も減っていくので、ロシア経済は徐々に苦しくなっていくのです。こういった理由から時間が経つとロシアはより一層厳しい状況になると考えられています。
それでも一筋縄ではいかないのがロシアです。
これからロシアが、世界が、そして日本がどう動くかが重要な局面になっています。だからこそ世界の問題は、自分の問題として学ぶことが大切なのではないでしょうか。
大人の学び直しTVには他にも世界情勢や経済の記事があるのでぜひみていってください。
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ということで、今回は以上です(^^)/