アベノミクスと言うけれど、なぜか好景気は感じられないし
それどころか最近はコロナショックの影響で営業自粛を余儀なくされ
経営が厳しい会社、家計が苦しいご家庭も多いのではないでしょうか。
今回の記事では、そもそも日本という国単位でみたときに財政はどうなっているのか?
こちらをわかりやすく解説させて頂きます。
動画では15分で解説しています!
Contents
日本の財政
財政というのは、わかりやすく言えば個人単位でいう”家計の収支”と同じ考え方です。
どれくらい収入があって、どれくらいお金を使っているのかと言うことです。
財政とは、それを国単位で記録してチェックするよ〜と言うものです。
日本の歳出状況
では、まず歳出つまり「どれくらいお金がかかるのか」を見ていきましょう。
年間101.5兆円のお金がかかるよと言う状態です。
社会保障という年金や医療、介護、子育て等のために使うお金が34.1兆円。全体の33.6%あります。
地方交付税交付金等は日本のどこでも一定の水準でサービスが維持できるように国が調整して、地方に配る経費のことです。 これに16兆円使っており全体の15.8%を占めます。
国債費という国の借金の返済と利払いを行うために23.5兆円、全体の23.2%を使っています。
この3つで全体の72%くらいも使っているわけです。
橋や道路を作るとか、最新のウイルスの研究を行うといったジャンルは実は残りの1/4くらいの中だけで調整しているのです。
これが「どれくらいお金がかかるのか」というものです。
日本の歳入
次に歳入、つまり「どれくらい収入があるのか」をみていきましょう。
所得税として給与から引かれているもので19.9兆円。全体の19.6%
法人税として企業から集めたもので12.9兆円(全体の12.7%)
身近な消費税。ここから集めたもので19.4兆円。全体の19.1%あります。
あとは酒税やたばこ税などその他の税金と収入を合わせると68.8兆円となります。
先ほど、かかるお金は101.5兆円ですよ〜という説明をさせて頂きましたが、
歳入は68.8兆円しかありませんので、実は税収でまかなえていないということなのです。
その差を埋めているのが”公債費”という名目です。
これがいったい何なのかというと、実は”国の借金”です。
だから、かかるお金のうち1/3くらいは借金でやりくりしているよという状態なのです。
プライマリーバランスとは?
歳入、歳出どちらからも借金を除いた場合に
どれくらいの収入があって、どれくらいお金が出ていくのかという観点です。
これがプライマリーバランスと呼ばれているものです。
先ほどの表を見てみると…
収入が68.8兆円がで、使うお金が77.9兆円です。
2019年の1年間で9.2兆円のマイナスになっています。
つまりプライマリーバランスは赤字となっているわけです。
その上、ここ20年の傾向として「かかるお金」は増え続ける一方で、入ってくるお金つまり税収は伸び悩んでいますから、その差はどんどん大きくなってきています。
それらを積み重ねてきた結果2019年末時点での借金は1,110兆円にまで膨れ上がりました。
財務省:日本の財政を考える
https://www.mof.go.jp/zaisei/index.htm
日本銀行:第135回事業年度(令和元年度)上半期財務諸表等について
https://www.boj.or.jp/about/account/zai1911a.htm/
これだけ借金があるということで日本の財政状況を考える上で
借金についてはもうすこし詳しく見てみる必要がありそうです。
日本の借金
日本の借金についてもう少し解説していきます。
この借金の多くは政府が”国債”を発行して、それを金融機関に買い取ってもらうということで成り立っています。
先ほどお話しした通り日本には多額の”借金”があります。
ただですね!
実は借金自体が悪いというわけではありません。
これから成長していくと考える企業はお金を借りてでも設備投資をしたり商品開発を行います。
個人でも同じです。多額の現金を用意しなくても新しい家や綺麗なマンションに住むことができるのは
住宅ローンという借金を活用しているからです。
お金を稼いで、借りたお金を返せる見込みがあるのであれば、借金は悪いものではないということです。
国の借金をみるときにはGDPで比較する
では、国の場合はどこを見るかというとGDPを見ることが一般的です。
GDPとは何かをざっくりと説明すると、国全体でどれだけ稼いだかというものです。
このGDP(国としてどれだけ稼いだか)に対して、どれくらいの借金をしているのか見ることが指標となるわけです。
日本のGDPは約550兆円弱あります。1年間で国としてそれくらい稼いでいるというわけです。
この数字と借金の割合を、他の国と一緒に比べてみましょう。
日本の借金比率は、諸外国と比べると明らかに高いことがお分かり頂けるかと思います。
財政破綻が危惧されているイタリアでも130%程度ですが、実は日本は240%程度にもなっています。
日本の借金が膨れ上がった理由
この背景には何があるのでしょうか?
経済を盛り上げようということで始まったアベノミクスを中心とした金融緩和です。
大量の国債を発行して日銀が市中銀行から国債を大量に買い取ればお金が増えます。
このお金というのは市中銀行が日銀に預けている「日銀当座預金」というお金のことです。
この日銀当座預金が「マネタリーベース」と呼ばれているものの一部になります。
名前の通りベース、つまり種銭です。
このベースが溢れるほど増えれば、民間の銀行は企業や個人にお金を貸出しやすくなります。
だから、お金の貸し出しが増えて、市中にお金がもっと多く出回るようになるんじゃないかと考えた施策というわけです。
この市中に出回るお金のことをマネーストックと言います。
しかし、金融緩和を行なってみた結果としては、マネタリーベースが増える一方で、
お金を借りたいという需要が思ったよりも伸びてきませんでした。
つまり政府の借金は増えるけど、実経済に重要なマネーストックやGDPは伸びていないということになってしまったのです。
それは今現在も続いています。だから、冒頭に申し上げたような「なぜか好景気が感じられない」という状態なのです。
このように国債をどんどんと買い進めていた結果、国債発行高1054兆円のうち
480兆円つまり全体の半分くらいは日銀が買っているということになってしまいました。
日本は財政破綻するのか?
日本の借金は今までご説明したような状況になった上に、その割合が増える一方なので
そんなことが議論されるようになってきました。
ここで!
「財政やばくない派」と「財政やばい派」が大きく分かれるようになってきました。
そこで今回はわかりやすさ重視で、それぞれの派閥がどういうことを主張しているのか?
その代表的な意見をざっくりと簡単に、それもたった2つにまとめてみました。
ということで、まずは「財政やばくない派」の意見です。
「統合政府論」「MMT(現代貨幣理論)」に代表される意見です。
統合政府論とは?わかりやすく簡単に
これがどういうものかというと・・・
借金が1,000兆円あるかもしれないけど貸している先は日銀が50%くらいですよ。
日銀というのは政府の持ち物で子会社みたいなものです。
だから例えるなら、家庭内でお金を貸し借りしていることと同じですよ。
お母さんの財布からお金が減って、子供の財布にお金が増えているだけです。
そんなお金を貸し借りして、家庭が破綻しますか?ということですね。
MMT(現代貨幣理論)とは?わかりやすく簡単に
こちらも初めて聞く方にとっては意味不明な呪文のように感じるかもしれません。
MMTはModern Monetary Theoryの頭文字をとったもので
日本語では現代貨幣理論(げんだいかへいりろん)と言います。
これを簡単にいうと・・・
企業は赤字なら倒産するけど、国の場合はどうなるの?
赤字を補填できるじゃないですか、国債で。
その上、国債は自国建ての通貨なんだから、自分でお金を刷れる。
だから財政破綻は起きませんよという考え方です。
巨額な借金をしたとしてもバランスシート上で考えたときに国の借金の反対は国民の資産です。
これは誰かの借金は誰かの資産という考え方に基づいているものです。
だから、国民の資産を増やすために、国の赤字が増え流のは当然の行為。
国民を豊かにするためには、もっと国の赤字をどんどん増やしていくべきだ。
その証拠に何十年も借金が増え続けているけど、金利も上がらないし、
インフレどころかデフレ状態で、 実際何も問題は起きていませんよ、
それが何よりの証拠です、というものです。
それでは逆に・・・
財政はやばい派の意見も説明します。
統合政府論に対しての反対意見
確かに親子間での貸し借り自体は問題ないけど
そのお金が巨額かつ外部からの借金だとしたらそれは問題ありますよね、というものです。
日銀の当座預金のうち70%以上は、民間銀行に元本も利息も払う必要があるものです。
銀行から返してと言われれば返さなくてはなりませんし、景気が良くなってきたときに
金利を上げる必要がありますから、その時には日銀の首が回らなくなってしまうよね
という考え方です。
MMTに対しての反対意見
MMTに対しては、財政が悪化すれば金利が上昇するのが市場の原理なのに
日銀が自ら大量に国債を購入することで、金利が上がらなくなってしまったのが問題だというものです。
市場原理が働かなくなった状態は計画経済と言えます。
今はもう計画経済になっているので、これは明らかに副作用が出てくるだろうという考え方です。
実際に、計画経済を行なってきたソ連や昔の中国がうまくいかなかったことがそれを証明しています。
溜まりに溜まった膿が何かの弾みで爆発するときのダメージは計り知れないものになってしまいますよというものです。
以上が財政やばい派の意見でした。
かなり概要をかいつまんで簡単にご説明させて頂きましたが
実際には、他にも数え切れないほどの理屈や意見があるという状態で、
今もなお、正しい答えを求めて世界中で議論の真っ最中というわけでございます。
財政について僕が思う事
最後に僕の考えについてもお話しします。
僕としては、自分が”一体どの立ち位置なのか”ということをよく考えた方が良いと思います。
例えば自分が経済学者や評論家としての立場で
「実績が必要なんです、理論を証明したいんです」
そういう場合には自分の経済論や主張に拘わり続ければ良いと思います。
だけど、自分の立ち位置が
「個人の資産を守りたいとか、自分の投資戦略を考えるため」
そう言ったものなのであれば 「日本の財政は心配ないでしょ」と考えるよりも
「もしかしたら危ないかもしれない」と考えて対策をしておく方が賢明だと思います。
時々、財政破綻なんかするわけないし、そんなこと言っているのはバカだけだとか煽る方もいらっしゃいます。
そのときには、その人が一体どの立場でその発言をしているのかを考えることが大切だと思います。
僕自身はシンプルに自分の資産を守る、投資戦略を考えるというところに主眼を置いています。
だから何か起こったときのためにどうしたら良いのかということを考えて経済をみています。
noteは今の僕の考えと戦略をまとめています。
もし興味あれば下記から飛んでみてください。
というわけで今回の記事は以上になります(^^)/
このブログが経済や投資を考えるきっかけになれば嬉しいですし
それが豊かな人生を送るための知識にほんのすこしでもプラスになれば嬉しく思います。
最後までご覧くださいましてありがとうございます。