金融・経済

税金のはじまりと歴史。なぜ税金を払うのか?

年末調整や確定申告といった税金を意識する季節となってきました。

税金は大人になるにつれ身近になり、時に大きな負担にもなります。でも言われるがままに支払っていて、どうやって税の仕組みが生まれたかまではご存知ない方が多いのではないでしょうか。

この僕たちの生活に深く関わる税制度は、実は原始時代から続く長い歴史があります。その長い歴史の中で、時代に合わせて変化を繰り返してきたことで、いまの税制度ができあがっています。

では、税金はどのようにして始まったのでしょうか?そしてなぜ僕たちは税金を支払わなければならないのでしょうか?この素朴な疑問は、税金の歴史を遡っていくと理解することができます。

そこで今回の記事では税金の成り立ちとその歴史をわかりやすく解説します。

最後までご覧になっていただければについての理解が深まり、あなたの人生に役立つこと間違いありません。

 

動画でもわかりやすく解説!

Contents

原始時代からの税制度

僕たちの生活に深く関わる税の考え自体は、国が誕生するのと同じくして作られたと言われています。

税として集めたお金を使って、それを分配することで国民全員が利用できる設備やサービスを提供し、生活を支えることを目的としたものです。

しかし、税と言っても最初から今と同じ仕組みだったわけではありません。

税金についての細かい歴史の多くはいまだ謎に包まれていますが、似たような制度は原始時代から既にあったと言われています。

その時代、同じ神さまを信仰する人たちが、その神さまへ捧げた貢ぎ物を、後から全員で分け合うという仕組みが存在していました。

これが現在の税金に似た原始時代の税制度です。

つまり、税とは目的のために集めたモノやお金を、一緒に生活しているメンバーの間で分け合う仕組みなのです。

こうした税金の仕組みは、早くから文明が発展したヨーロッパの都市で取り入れられました。

変化する税制度

では、どういった税制度がつかわれていたのでしょうか?

その昔、ヨーロッパ最大の都市であったローマでは、収入の10%を納めるというルールや、買い物をするときにも税を納めるというルールがあったと言われています。まさに現代の収入に応じた所得税や、買い物をすると発生する消費税に似た税制度です。

しかし、国の支配者が変わると、その度に支配者にとって都合の良い税へと変えられるという問題がありました。特に国の支配者が絶大な権力をもっている時代ですから、言うことは絶対です。

例えば、臨時で税の支払いを命令したり、何年か分の税金をまとめて先に支払うことを命令したりする支配者も現れ、庶民はひどく苦しめられたのです。

それが国のため、国民のために使われたかは定かではなく、むしろ私腹を肥やすために使われていたと考えられます。

このように、度重なる変化を通して税は少しづつ形作られていくのです。

重税と反乱 

世界各国で変化を繰り返してきた税制度ですが、世界では今では考えられないような税が課せられることも多くありました。

トイレ税といって、尿に含まれるアンモニアが油分をおとし衣服の洗濯や、歯のホワイトニングにも使えることを発見すると、公衆トイレにたまった尿の取引が行われるようになります。その尿の取引に多くの税を課しました。

ヒゲ税といって、あごひげをたくわえた男性は高額の税を払ったうえに、あごひげを生やしてもよいという権利を買ったことを示す証明書を携帯しなければならなかったこともありました。

そんな中で、中世ヨーロッパでは聖職者や貴族のような身分の高い一部の人たちの税が免除されてきました。

もちろん庶民は不満がたまり「どうして自分たちばかり税金を払うんだ!」とたびたび反乱が起こったのです。

庶民が重い税に苦しめられ反乱をおこした理由はいくつか考えられます。

まず当時は戦争によって領土を広げていく時代ですから、戦争のたびに国家の財政が不安定になります。ですから急な税を課す必要が出てきたり、税を前払いしてもらう必要もあったのです。

また、特権階級の人が国のお金で贅沢をしていたことも原因です。

特権階級の人たちはお金に困れば、庶民からの税金を重くするだけでお金を徴収することができました。そうした特権階級の人たちのお金の使いかたによって財政が悪化したのです。

支配者は国の財政が危うくなっても、庶民からからお金を取り上げれば国を運営していけると考えていたわけです。

しかし、高い税金を払い続けられるほど庶民は豊かではありません。

重くなっていく税金によって生活が苦しめられた庶民の間では不満が高まっていきます。

税制度への不満が高まることで、歴史に残るような事件が起こることもあります。

現在のアメリカがまだイギリスに支配管理されていた時代、アメリカはイギリスから重い税を課されていました。

なぜなら当時のイギリスは、繰り返される戦争によって財政が悪化していたからです。

あまりに重い税を課せられていたアメリカは、少しでも税の使い道を自分たちで決めようと、代表者をイギリスへ送りました。

しかし、アメリカからの代表者がイギリスの議会で投票権を持つことは許されず、自分たちで税の使い道を決めることは出来ませんでした。

そうしてアメリカからイギリスへの不満が高まって起こったのが「アメリカ独立戦争」なのです。この戦争によってアメリカはイギリスから独立し、自分たちで政治を行えるようになりました。

所変わってフランスでは王族や貴族、聖職者といった身分の高い一部の人たちは税を払う必要がないとされていました。

多額の税を納めるのは庶民の役割でしたが、それでも彼らは政治に参加することが出来ず、ただ税を納めるばかりの日々に不満が溜まっていきます。そうして庶民が政治への参加を求めた運動が起こるようになり、その高まりの結果が「フランス革命」となったのです。

アメリカやフランスでも、弱い立場の人たちが支配者に反乱を起こし自由を勝ち取った歴史があります。

こうした出来事を乗り越え、特権階級だけではなく国全体、国民全体が平等な生活を送るためにと、税制度はより公平なものへと成長を遂げたのです。 

日本の税の歴史

ここまでは世界の税についてお話してきました。

ここからは日本の税がどのように生まれ、変化していったのかをお話します。

日本の税の始まりは、今からおよそ1800年前の卑弥呼の時代にまでさかのぼります。当時の日本について書かれた中国の書物「魏志倭人伝」に邪馬台国に住む人たちは、種もみや織物を卑弥呼に納めていたという記述があるのです。

しかし、まだ税制度としては確立していません。

税制度として確立したのは奈良時代より少し前の時代とされています。

この頃の日本は、当時の中国を手本に改革が進められていました。その改革の中のひとつが「租・庸・調」を主軸とした日本独自の税制度です。

日本独自の税制度とは?

租は、男女関係無く農民に課され、収穫した稲の約3%を納める制度

庸は、成人男性は都で10日間働くか、その代わりに布を納めるという制度

調は、働くことのできる年齢になった男性が、布や海産物など地域の特産品を税として納めるという制度です。

こうして見てみると、現在のようにお金で納めるのではなく、物や労働を納めていたことがわかります。

このような「租・庸・調」は、次第に「年貢」へと変化していきます。

室町時代になると、商人や職人にも税が課されました。

この頃から、関所で通行税が徴収されるようになります。

当時は今のような都道府県はなく、それぞれの地域の統治者が力を持ち、その領地に入るためにはお金を払う必要があったのです。

そこから少し時がたち…織田信長の時代になると、商人が寺社や公家といった権力者に納めなければならない税を免除したり、関所を廃止して通行料を免除していきます。

その後には、初めて天下を統一した豊臣秀吉が太閤検地と呼ばれる制度を取り入れ、農民が納める年貢を、それぞれの農地の収穫高によって決める改革を行いました。

江戸時代にも税制度は継続されていて、当時の年貢は40~50%前後だったと記録に残されています。

しかし、年貢に関する制定は緩く法の抜け穴が多かったため、江戸時代の農民の生活は昔よりも改善されていったと言われています。

長く続いた江戸時代が終わると、近代的な税制度が明治政府によって整えられます。

土地を持っている人には、土地の価格の3%を納めることが当時の法律によって定められました。

また、所得税や法人税が課されるようになったのもこの頃からです。

税の支払いが原則お金で行われるようになるなどだいぶ現在の制度に近づいて来ていますね。

しばらくすると日本は海外と戦争を行うようになるのですが、ここで先ほど説明した世界の税の歴史について思い出してみてください。

世界では、戦争によって国の財政が厳しくなると重い税が国民に課せられていました。

これは日本も同じです。

繰り返される戦争に必要な費用を調達するために増税され、国民の生活が圧迫されたのです。 

税と社会の課題

戦争が終わると日本国憲法が制定され、納税が国民の義務となります。

日本国憲法が制定された翌年には、納税者が自分で所得や税金を計算して納税する申告納税制度が導入されました。

こうした新制度の導入はアメリカからのアドバイスによって、より現在に近い税制度として確立していきます。

税を多くの人へ公平に分けるため「公平・中立・簡素」の原則が作られるなど、多くの出来事を乗り越え国民の生活を守る大切な制度となったのです。

このような長い歴史を経て、今の日本には約50種類もの税金があります。数多くある税金の中には、働く人のほとんどが支払う所得税も存在します。

所得税とは個人の収入(所得)にかかる税金のことで、どのような形でも所得がある人は支払わなければいけません。

これは累進税率という制度が採用されていて、所得が少なければ税金は低く、反対に所得が多いと税金も高くなる仕組みになっています。所得の多い人が多めに支払うことで、所得の低い人たちを助けていると考えることもできます。

増税する理由とは

しかし、ここでもの申したくなる人もいるのではないでしょうか。

「最近の日本は増税ばっかりだ!」

近年、日本政府は増税を繰り返しています。なぜなら、社会保障の財源を税金によって確保しようとしているからです。

現在の日本は、少子高齢化が進み年金を受け取る人口が増加しています。その一方、税金を納める労働人口は減少し、多くの社会保障に影響を及ぼしています。

では、なぜ消費税が増税されたのでしょうか?消費税は、他の税とは異なり、年齢に関係なくすべての国民が納める税です。

つまり、国民が平等に税を負担します。その消費税を増税することで、特定の人たちに負担を集中させることなく財源を確保できるのです。

しかし、全員が平等に負担するということは、貧しい人にも裕福な人にも平等に負担がかかるということで、結果的には不平等ではないかという意見もあります。

だからこそ常に時代に合った税のあり方が模索され、今も議論され続けているのです。

税金の知識があれば、今の政策について自分なりの意見を持つことができますし、もっと言えば税金をコントロールすることもできるようになります。

歴史上の特権階級が自分たちに都合の良いルールを作ってきたからこそ、抜け道は必ず存在するものです。

だから税制度やお金に関する知識も毛嫌いせずに学んでみることで豊かになることができるのです。

また、すあし公式LINEではよりパーソナルな学びお金やスキルアップなどの情報を配信しています。

ということで、今回は以上です(^^)/

すあし公式LINEではよりパーソナルな学び
お金やスキルアップなどの情報を配信しています。
お友だちに追加して学びを深めよう!

友だち追加

 

〜日本大恐慌時代の一般市民投資戦略〜

コロナウイルスに
中央銀行の大金融緩和。

いま、世界は大転換期。
これから日本はどうなるのか?

知識があれば
対策をすることができる。

逆に…

何も知らなければ奪われるまま。

知識をつけて
大切な資産を守ろう。
必要な情報を全て詰め込みました。

ぜひご覧ください。

オススメ記事

コメント