前回の記事では金融政策の「量的緩和」について解説しました。
今回は、その後の日本の金融政策について説明していきます。
これが「黒田バズーカ」と呼ばれるものなのですが、一体どういうものなのでしょうか?
また、日経平均株価の動きを参考指標として日本経済がどう反応したのかも解説していきます。
Contents
好景気から一転…
2001年~2006年の量的緩和政策の影響もあり、日経平均株価は復調しました。
しかし。
みなさんもご存じリーマンショックが発生します。
2008年に発生してから、日本経済はまたしても下落トレンドに転じます。
そして日経平均株価は7,000円台まで落ち込みます。今では信じられない数字ですね。
黒田バズーカ発砲 その中身は?
2013年3月に黒田東彦日銀総裁が着任。それから3回のバズーカが放たれました。
黒田バズーカ 第一弾
就任早々の2013年4月4日に「量的・質的金融緩和」の導入を発表しました。
これは「量的緩和政策をさらにやっていきますよ~!」ということですね。金利ではなくお金の量を増やしていきますというものです。
また、質にも配慮して「リスク資産も拡大していきますよ~!」という事ですね。これにより国債や上場投資信託なども日銀が買っていくことになりました。
発表されたのが月初に近いですから、月末にかけて値を上げました。日経平均株価も大きな陽線をつけています。
黒田バズーカ 第二弾
2014年10月31日に量的・質的金融緩和の”追加緩和”を発表しました。
これは市場が想定していなかったので「まだ金融緩和すんのか!思っていたよりスゲェ!」というサプライズ緩和となりました。
発表されたのは月末ですから、次月から窓を空けて日経平均株価は大きく伸長しました。
黒田バズーカ 第三弾
2016年1月29日に「マイナス金利」を発表しました。
というわけですね。経済をさらに刺激しようと試みたわけです。
しかし。
銀行業界からすると収益を圧迫する事態となりますので、業績見通し悪化から銀行株が株価を下げました。
併せて中国での景気悪化、アメリカでの金融不安など外部要因もあり目先の日経平均株価は下落となりました。
黒田バズーカの効果は?
経済指標の比較
黒田総裁就任時から5年経った段階での経済指標を比較してみます。
トウシルより引用
このように比較してみると、数字が伸びています。特に日経平均株価の伸長率は目を見張るものがあります。
しかし、「いや~景気いいなぁ!」という声はあまり聞かないですよね。
ここが成果の是非が問われるところでもあります。
数字上での一定の成果はあるものの”景気”はよくなっていないのではないか、ということですね。
構造的に不景気?
これだけの金融緩和政策を行っているのだから、もっと景気が良くなってもいいですよね。
そうなっていない構造を簡単に示します。
<理想>
金融緩和⇒銀行がお金をたくさん貸し出す⇒お金を借りて設備投資をしたり、事業を行う⇒経済活動が活発になる⇒景気がよくなる
<現実>
金融緩和⇒銀行がお金をたくさん貸し出す⇒思ったより借りてくれない⇒お金がたくさんある⇒お金の価値が下がる⇒同じものを買うのにもお金が多く必要になる⇒生活きついから買い物控える⇒景気がわるくなる
こういった状況になっており、日本はなかなか不景気から抜け出せていないわけですね。
まとめ
金融政策によって、経済が刺激され株価にも大きな影響を与えることがわかりました。
「国策に売りなし」という言葉があるように、国が考える方針にのっかってみるというのは投資としては合理的ですよね。
しかし、それは大きなトレンドをとらえてのことなので目先の株価の上下動に翻弄されないようにしましょう。
今後の日本銀行の動きや金融政策にも注目していきましょう。本日は以上です。